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新小説


31。



「ほんと、すいませんでした・・・・・・」
 結果的には、勝てた試合だったのを僕がおじゃんにしたという形になってしまい、僕は穴を掘って入って春まで寝たいくらいの気持ちでチームの面々に謝罪しました。
「いやいや、お前はがんばったって!サッカー部でもねぇのに、一番輝いてたぜ!」
「・・・・・・」
 活躍はともかく、結局僕が浴びたのは、黄色い歓声ではなく爆笑でした。
 試合が終わって、サッカー部に謝罪したあと、僕はすぐにグラウンドを離れ、人目につきそうに無い図書室に引きこもりました。僕は昔から、嫌なことがあったりしてどこかに行きたいとき、必ず図書室に来る癖があるのです。
「はぁ~~。ちっくしょう・・・」
 とんだピエロです。理沙子ちゃんにイイトコ見せようとして、逆に傑作の失態をさらしてしまうなんて。これは結婚披露宴で晒されるレベルの失敗です。
 そういえば、まだ包帯を巻きっぱなしにしていました。かなりギリギリまで筋肉を酷使したように思いましたが、思ったより負担はかからなかったようで、痛みとかはありませんでした。
 痛みをいえば、ぶつけた頭が少し痛むように思います。もしかしたら保健室に行くべきでしょうか。オレンジ色の室内をなんとなく眺めながらぼーっとしていると、後ろの扉から誰かが入ってきたようです。
「やっぱりここだった」
「   」
 り!りりり、理沙子ちゃんーーー!?
「で、え、えええ!?」
「やなことがあると、アキくんいつも図書室に行くんだよね」
 ・・・そんなことがバレてたなんて・・・。しかしそんな些細なことを覚えててもらえるなんて光栄です。
「さっきの、かっこよかったよ」
「・・・いや・・・あはは」
 なんだか気を使わせてしまっているようです・・・
「でもなんで試合に出てたの?サッカーやってたことって無いよね?」
「ああ、うん。剛に頼まれちゃってさ。仕方なく・・・。理沙子ちゃんは、どうしてここに?」
「ツボミくんが、アキくんがすごく落ち込んでたって言ってたから心配になって・・・。でも、元気そうだね」
 ツボミが・・・。
「うん。おかげで元気になったよ。ありがと、理沙子ちゃん」
「そっか。どういたしまして」
 彼女の眩い笑顔を見ているだけで、どんな痛みも疲れも消し飛んでしまうってもんです。
 そしてなにやらいい雰囲気ではないでしょうか。これは、毎晩のようにシュミレーションを重ねている“理沙子ちゃんとの距離を縮める作戦”を決行するときでしょうか・・・!
「あの、理沙子ちゃ・・・」
「その包帯・・・」
「・・・・・・え?あ、・・・いや、なんていうか、これは怪我しないようにっていうやつだから!ほ、ほら!なんともないでしょ!?」
 心配そうに覗き込む彼女を安心させるために、あわてて包帯を外して無事を示そうと、両手両足の包帯を毟るように取り去ります。
 すると。
「ぎゃああああああああああああああああ!!?」
「ど、どうしたの!?」
「いってぇえええええええええええええ!!!」
 包帯を外した瞬間、筋肉に電気を流されたみたいな痛みが流れ出したのです!まさか!これは!!まさか!!!
「大丈夫!?アキくん!」
「だ・・・だだだだいじょうぶだから!ほんと!だから、ツボミがどこにいるかわかんないかな!?」
「えっと、たぶん、教室に・・・」
「ありがと!!それじゃ、また!!」
 3時間正座をしたような痛みと痺れが全身を襲っている中、壁に手を付きつつ2-2の教室へよろよろと向かいます。
「ちくしょう!いいところで・・・いいところだったのにぃぃぃ!!」




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