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小説新作


33。




 僕らは今、下校中です。僕ら、というのは、僕、ハンナ、ツボミの3人です。
 今日は(僕の一存で)実戦科学部はお休みになったためです。ハンナはまだ入部を決めていないようで、ツボミはなにかに縛られるということが無い人間です。なので、ちょっと早め、太陽光が青色をしているうちの帰宅となりました。
「実戦科学部の人たちは元気かい?」
「・・・ん?」突然だな・・・。「まぁ、元気そうだったよ。二宮は改造DSを没収されてたけどね」
「ふふ。じゃあ、四谷くんは?」
「うーん、まぁ、元気なんじゃないかな。あ、そういえば、「あたらしいオモチャをみつけた」とか言ってたなぁ」
「オモチャ?」ハンナが話に加わってきました。
「そう、オモチャ。あいつにとっては全人類がオモチャだけどね」
 昔のあいつは、他人の人生を歪めるのが趣味でした。ゆっくり、ゆっくり、人を終わらせていくのが生きがいだったのです。ついに担任の教師まで侵食していって、その教師と仲が良かったのが僕でした。それが原因で、しばらく僕と四谷は対立していたのです。
「まぁボクにしてみれば、キミらもオモチャだけどね」
「いま なんか言ったかな・・・?」
「いえいえ、だんじて」
 まったく・・・。
 そうこうしていると、僕の家が見えてきました。
「ねぇ、ハンナ。いまさらだけど、僕らと同じ部屋で、嫌じゃない?」
「え?」小首をかしげるハンナ。「まぁ、着替えを見られるのはイヤですけども」
 それはお前の責任だよ。
「なぁ、ツボミ。キミもイヤだよね?一人部屋が欲しいよね?」
「・・・。そうやって家族がバラバラになって寝るから、仮面家族が増えるんだ。一緒に寝ないと心は通わないんだよ」
「一緒に寝てるのに、お前の考えてることが微塵もわからねぇよ」
「ボクは手に取るようにわかるぜ?」口元を歪めて、「ま、ボクにかかれば部屋を一つ二つ増やすなんて、ちょちょいのぷいぷいさ」
「ホントに!?」
「嘘はつかないよ」
 嘘つけ。
 とにかく、今までそんなことを考えたことはありませんでしたが、部屋が増えれば窮屈な思いをしなくたってすみます。ハンナの着替えを目撃して未来的拷問に遭うことも、宿題をしていたらツボミに「ここが違う。ここも違う」といじめられなくてすみます。
「ハンナもそれでいい?」
「・・・はぁ、まぁべつに」
「ま、なんにせよ、いくらボクでもちょっと準備に時間がかかるし、しばらくは今のままだぜ?」
 やはり持つべきものはドラえもんです。
 僕らは自宅に上がり、ツボミはリビングに直行してぶどうジュースを摂取に、ハンナはお花を摘みに、僕は二階の僕の部屋にそれぞれ向かいました。
 僕の部屋だった、という方が正確でしょうか。いまや3人の部屋。ほんの少しの間に、あっという間に家族が2人も増えてしまったのです。なんということでしょうか。僕は部屋のドアノブに手をかけて、
「まぁ、騒がしいのもわるくはないかな」
 とつぶやいて部屋に入ると、そこには。
「あ、おかえりなさい、パパ」
 いつしか一度だけ出会った、ガイノイド(?)のツバサがベッドの脇のカーペットにちょこんと正座していました。





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