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小説


34。



「ほんとびっくりさせないでよね・・・」
「申し訳ないでございます」
 陽が傾いてくる時刻。僕の部屋になんの前触れも無く現れたのは、僕を「パパ」と呼ぶ、小学生くらいのかなり小柄な少女でした。名前はツバサ。
「そういえば、前にツバサちゃんに助けてもらったんだよね。あの時はお礼を言ってなかったから、今言わせてね。ありがとう」
「やめてください、パパ。パパを助けるのは娘の役目でございます。それから我輩のことは、呼び捨てでお願いします」
 パパを助けるのは娘の役目?いやいや、娘を助けるのがパパの役目では?それを差し引いても、ファレちゃんに襲われたときに僕を助けるべきだったのは、どちらかと言うとハンナのはずでは・・・?娘というのなら、彼女こそがもっとも娘なのですから。
 なんか、涙が出そうです。娘に「大きくなったらぱぱと結婚するー!」とか言われたら、こんな心情になるかもしれません。
「パパ?どうしたのでございますか?」
「・・・いやさ。ところで僕のことをパパって呼ぶのってなんでなのかな?」
「?」本当に不思議そうに小首をかしげて、「パパですから、パパと呼ぶのでございます」
「はぁ・・・。僕って過去の人だからさ、どうやってツバサちゃ・・・ツバサと出会ったのかわからないんだよ。教えてくれるかな?」
「イヤでございます」
「イヤでございますか」
 イヤらしいです。いやらしくはないです。
「その話は、2人っきりの時にしたいのでございます」
 え?、と僕が言いかけたところで、後ろの扉が静かに開かれてハンナが現れました。まったく気が付きませんでした。
「聞き耳を立てるとは、感心しないでございますね、お嬢様」
 ツバサにつつかれたハンナは黙って部屋に入ってきて、扉を閉めました。
「降りてこないから、心配になって見にきたんですよ・・・」
「心配してくれたの?」
「心配してないです」
 なんでだよ。
「我輩は心配しているでございますよ。学校に侵入したファレ嬢の姿が急に消え、見失ったのでございます。現在どこにいるのかわからないため、この家に防御機構を設置しようと侵入したのでございます」
「・・・・・・・・・。」
 もしかして、情報が行き届いていないのでしょうか。
「・・・・・・。おい、ツボミ」
「はいはーい」
 僕がボソッと名前をつぶやくと、最初からそこにいました、と言わんばかりの自然さで少年が出現しました。ハンナは驚いて少し距離をとり、ツバサはすばやく僕とツボミの間に入りました。なんてできた娘なんでしょう。ほんとにいい娘です。
「ツボミ。お前、ツバサにあのことを説明した?」
「してないね。必要性も必然性もないからね」
 僕の落ち着いた様子に、ツバサは警戒を緩めて僕のとなりにちょこんと正座します。
「それでツバサが余計に気をもんでるじゃないか」
「そもそも接触が無いしね」
「・・・あれ、そうなの?」
 たしかツボミが、ツバサの怪我を治したみたいなことを言っていたような気がします。てっきり2人の間にはなんらかのコミュニティがあるものだと思っていました。
「・・・まぁ、いっか」
 とにかく、ファレちゃんが襲ってきたこと、それをツボミが撃退してどこかに転送してしまったことをかいつまみながら説明しました。
 すべてを話し終えると、
「なるほど。ではもう大丈夫ということでございますね・・・」
 とうつむくツバサ。
「なんかつまらなそうだね」
「いえ・・・。パパのお役に立てると思っていたのでございまして・・・」
 ああ、なんていい娘なんでしょう!この胸の内からあふれ出す気持ち・・・これが母性!?
「そういうことでしたら、おいとまさせていただくのでございます」
 おもむろに立ち上がるツバサ。
「そういえば、ツバサはどこに住んでるの?」
 未来から来たということは、ここに身寄りがあるはずがありません。収入源があるはずもありませんから、他の鬼畜未来人同様に誰かを洗脳して住まわせてもらっているのでしょうか?
 などと考えていたのですが・・・・・・
「ええ、この時代に来たときのタイムマシンの中で寝てるのでございます」
「・・・・・・・・・は?」
 タイムマシン?いや、ちょっと待ってください。ハンナが乗ってきたタイムマシンですら、人一人がギリギリではありませんでしたか?そしてツバサの乗っているタイムマシンは試作機であるため、ハンナやファレちゃんですら入れないギリギリの広さしか無いという話ではありませんでしたか?
「・・・・・・ご飯はどうしてるの?」
「主にサバイバルでございますが、ある程度は太陽光からエネルギーを得ることができる機構を備えているのでござ・・・・・・なんでございますか?」
 急に両肩をつかまれて困惑するツバサに、僕は胸の痛みに耐えつつも提案しました。
「今日から・・・ウチに来なさい・・・!」





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