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新小説


35。



 給食の時間。やたらと甘いカレーに甘い福神漬けを投入していると、隣のハンナがおもむろに
「イジメってなんてすか?」
 と尋ねてきました。
 未来にはイジメがないのだろうか、と考えかけて、そういえば彼女は学校が初めてなのだと思い直しました。
 僕は少し考えて、
「集団で、弱い立場の人間に暴力を振るったり嫌がるようなことをしたりして苦しむ様子を見てストレスを発散することだよ」
 と答えました。的ははずしてない意見だと自負があります。
 答えを聞いたハンナは難しい顔をして黙ってしまったので、僕は牛乳をストローでちゅうちゅう吸いながら、甘いカレーをスプーンでかき混ぜました。甘くないカレーなんてカレーじゃないですよね。アメーです。
「じゃあ‥‥‥」ハンナは思いつめたように神妙な表情で、「それを発見したら止めさせるのが普通なんでしょうか?」と問いました。
「まぁ止められるんだったら止めた方が良いんだろうね。なに?ハンナいじめられてるの?」
「いえ‥‥‥別のクラスでイジメがあると耳にしたものですから」
 別のクラスでイジメが?もちろん話の流れから、うちの学年、つまり2学年の話なのでしょう。4組は四谷がいるのでイジメなんていうことは起きっこないはずです。つまりイジメというのが事実なら、1組か3組の話ということになります。まさか結束厚いうちのクラスではあり得ないでしょうし。
 しかし‥‥‥。
「別のクラスの事件に首を突っ込むのもなぁ‥‥‥」
 第一、イジメをなくすなんてそんなに簡単なことではありません。昔僕もイジメに立ち向かったことがありますが、僕がいじめられそうにもなりました。
 ・・・嫌なことを思い出してしまいました・・・。
「でも放っておくなんてできませんよね‥‥‥?」
 あるいはハンナがただのクラスメイトだったなら、僕はどう答えたかはわかりません。しかし彼女は僕の娘。父親として誇りある行動を取り、威厳を示すことが必要なのです!
 と、そこで。
「もしかしてそれって、1組の車裂さん?」
 僕の右斜め後方から鈴を転がすような可憐な声が。
「理沙子ちゃん‥‥!」
「良ければ私も手伝わせて?車裂さんとは、同じ部なの」
 つまりは女子ソフトテニス部。
「ええと、もちろん僕も協力するよ!」
 胸を張ってそう言うと、ハンナはタバコをポイ捨てする人を見るような目で僕を見ました。
 ‥‥違うんだ。たとえ理沙子ちゃんがなにも言わなくても、僕は手伝うつもりだったんだ‥‥!だからそんな目で見ないでくれ‥‥!



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