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新小説


36。



 放課後。僕たち3人は早速、情報収集に奔走しました。
 理沙子ちゃんはソフテニの友達を訪ねて回り、ハンナは体験入部の際に仲良くなった子を訪ねているようでした。では僕はと言うと、1組に潜入し、状況を直接確認する事にしたのです。3組か4組だったなら、実戦科学部の連中に話を聞けたというのに‥‥。
 まぁそんなことを言っても始まりません。
 僕は凄まじい匂いに耐えながら、教室内の会話に耳をそばだてます。今は教室には2人しかいないようです。おかっぱで小柄なかわいい系と、茶髪でヤンキーっぽい姉御タイプ。
「そういえば、またどこかの女子が剛君に告ったらしいぜ」と茶髪。
「またぁ?‥‥まぁ、カッコいいしサッカー部エースなら当然かぁ」と、おかっぱちゃん。
 ほんとアイツ、いっぺん爆発したほうがいいと思います。
 それで、告白の結果はどうだったんだ。
「それで結果はどうだったの?」
 おかっぱちゃんの問いに、スッと両手をクロスさせる茶髪。あの野郎、爆発しろ!
「だよねぇ‥‥剛君は爆発したほうがいいね」
「は?‥‥爆発?」
 さっきから僕とおかっぱちゃんがシンクロしていますが、生き別れの双子とかなんでしょうか?
 僕がおかっぱちゃんにいじめのことを話題にするようにテレパシーを送っていると、突然教室後方の扉、つまり僕のすぐ右の扉が開きました。窺ってみると、それはどうやら女の子のようでした‥‥が、よく見えません。
 彼女は無言で、教室後方の個人ロッカーから何かを取り出して、そのまますぐに教室を後にしました。
 その間、ずっと硬直してその様子を見送っていた2人は、彼女がいなくなると肩を落として溜め息をつきました。
 一体何が‥‥
「また、泥まみれだったね‥‥車裂さん」
「昨日雨だったからな。部活やめりゃいいのに。馬鹿だな」
 車裂さん?泥まみれ?部活?
 まさか、今の彼女が。
「なんか、勿体ないよね。かわいいのに」
「かわいいからこそなんじゃねぇの?」
「いつ頃からだっけ?」
「いつの間に、って感じだったよな」
「なんとかしてあげたいよね」
「やめとけ。美智子もかわいいんだから」
「あぅ‥‥‥。メグちゃん、そ、そういうのはずるいと思うナ‥‥」
 彼女たちも、なんとかしたいと思っているようです。クラスぐるみのイジメだったら打つ手なしでしたが、実行グループと傍観グループにわかれているようです。それならいくらかやりやすい。
 それに、この2人は口が軽そうので、もう少し息を潜めていればかなりの情報をゲットできそうです。
 ‥‥と、思っていたのですが‥‥
「そういえば理沙子ちゃんが野球部の先輩と付き合ってるらしいね」
 ドガンッッ!!
 2人があわてて振り返ると、驚愕に目を見張りました。
 なぜならそこにはゆっくりと扉が開く掃除ロッカー・・・その中にひきつり笑いの僕が詰まっていたのですから。
「あ・・・あはは」


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