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新小説



40。


 僕らを見た2人、理沙子ちゃんとハンナは、そのメンツに驚きました。
 特に内情に詳しいハンナが叫びださないのが逆に不思議なくらい狼狽していました。
「あ‥‥あなた、その子は‥‥!!」
「落ち着いて。後で事情は説明する。とりあえず今は無害だから」
 そう言って、僕は四谷とファレちゃんを引き連れて下駄箱を通過しました。困惑気味な女子2人を促して、学校校舎を後にします。
 四谷・ファレちゃんとは校門で別れ、僕らは街灯の灯り始めた道中を他愛ない話で盛り上がりながら進みました。
「じゃ、今日はこれで」
「うん、また明日」
 理沙子ちゃんとも別れ、僕とハンナは愛しい我が家に無事帰還。「ただいまー」
 家ではツボミとツバサが僕らを待っていました。
「おかえりなさい、パパ、お嬢様。今から食事にするでございますので、しばしお待ちください」
 お父さんもお母さんも仕事でいないため、代わりにツバサ(外見年齢小学生)が僕らの食事を作ってくれています。
 そして指先一つで何でも召還できる少年が、ソファに深く沈んで紫色の液体を揺らしています。
「お帰り弟妹たち。愉しそうなことに首を突っ込んでいるようだね」
 今更ですが、このチート少年ならイジメなんて、ミニゲーム感覚で解決できそうですよね。
「できるよ。でもあの娘たち自体が変わらなくちゃ、意味がないだろ?今は解決したって、いつか同じようなことが起こって更に苦しむだけさ。自分の力で、原因から何とかしなくちゃ意味がないのさ」
 非常識と暴論の塊みたいな奴に、常識的な正論で言い伏せられてしまいました‥‥‥。
「それに、君たちにも良い経験になるよ」
「‥‥‥ふぅん」
 まぁそれは良いでしょう。それよりも、
「ファレちゃんが見つかったよ。知ってたか?」
「知らないね。探してもいない」
 それは嘘っぽいですね。未来道具じゃなくたって、僕を殺すことはできるんですから。
「四谷っていう、実戦科学部副部長の家に住まわせてもらっているらしいよ」
「‥‥へぇ。野垂れ死ぬ可能性のほうが高かったんじゃない?四谷くんは大人しそうだし、ファレちゃんもラッキーだったね」
「‥‥意外だな」
「うん?」
「お前は何でもお見通しなんだと思ってた」
 心を読んだようなことを言い出すし、千里眼っぽい時もあるし、なんだかんだで何でも知ってるっていうイメージがあったのですが、それならそんな‥‥四谷に拾われて良かったねなんて、口が裂けても言えるはずがないのですから。
 ハンナが、ふと思いついたように「そういえばこの前、あの人‥‥四谷さんが「新しいオモチャを見つけた」って‥‥」
「うん。ファレちゃんのことだろうね」
 ハンナは、その可愛らしい顔を青ざめさせました。
「可哀想に‥‥ま、ご愁傷様」
 俯く僕を、ハンナとツボミは不思議そうに見つめていました。
 光り輝くような、食べる前からほっぺが落ちそうなシチューが運ばれてきたのは、そのすぐ後のことでした。



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