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イジメ解決編


44。



 教室に戻ると、珍しくツボミが教室にいるのを見かけました。
「あれ、ツボミ。外でドッジボールしてんじゃなかったのか?」
 ほとんどの生徒は裏校庭で遊んでいるはずです。人気者の彼のこと、引っ張りだこのはずなのですが。
「ボクが君たちの思い通りに動いたことがあったかい?」
「自覚してんなら直せ」
「さて冗談はともかく」
 おい。
「行き詰まったようだね。迂闊にイジメグループに接触してしまえば、事態は余計に入り組むし、彼女らの邪な覚悟は筋金入りだよ。となれば、被害者にアクションを起こさせて、その動揺につけ込んで、もっとも効果的なカードを切る‥‥。中学生の発想とは思えない、周到で狡猾な素晴らしい作戦だよ。さすがは悪魔の男。感服だよ」
「そんなに深くは考えてないよ」
「同じことさ。しかし被害者の彼女が心を開いてくれない。さてどうするか? 答えは簡単さ」
 まさかこいつ‥‥手伝ってくれるというのでしょうか。今までは緊急時の戦闘パートでしか味方という表現に当てはまらないと考えていましたが、ここにきてついに、彼も僕らに協力意識を持ってくれたのでしょうか。ちょっと思うところがありますね‥‥
「つまり、明仁氏。キミが女の子になれば良いのさ」
 前言撤回、廃棄処分。
「んなもんバレるに決まってんだろ!っていうか男性恐怖症を僕が突破する必要はないだろ!?誰か別の女子を‥‥」
「キミだからこそ、だよ。彼女の気持ちが分かるのは、キミの知り合いでは誰一人としていやしないさ。事実、最高の人格者である谷原さんですら、今失敗してきたところなんだろう?」
 僕は横目でチラと理沙子ちゃんを窺います。目を伏せて申し訳なさそうにする彼女。(ツボミの千里眼を気にしている様子はありませんでした)
「ボクが言わなくてもいずれ気がついたことだと思うけど、明仁氏と車裂さんは似たもの同士だ。目を見れば分かる。だからこそ、ボクはキミに説得を勧めるのさ」
 ‥‥うぐ。
 こいつに口で勝とうなど、土台難儀な話。
「で、でも‥‥。僕は変に有名だから、顔が割れてるかもしれないし‥‥それに僕の顔は、女の子には見えないよ」
「そうは思わないけど、まぁ言わんとしていることはわかるよ。でも大丈夫。僕を誰だと思っているんだい?」
 ツボミが指を鳴らすと、ハンナと理沙子ちゃんが、コマ落ちフィルムのように突然、空間から消えてしまいました。いま、教室には僕とツボミの2人きり。
「さあさ皆さんご覧じろ。高橋ツボミの真骨頂!」
 たった1人の“皆さん”を前にして、ツボミはどこからともなく、なにかカードのようなものを取り出しました。
「【P・P・P】」
 そんな言葉が聞こえたかと思うと、僕の意識はだんだんと遠のいて‥‥‥
 最後に見たツボミの顔は、なにやらヒドく邪悪なものであった気がします。



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