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イジメ解決編


46。




「(おまたがスースーする‥‥)」
 理沙子ちゃんとハンナに付き添われ、保健室を後にして教室に戻ると、時刻はもう放課後になっていました。
 すでに室内には生徒もまばら。ただしどういうつもりか、例のクソヤロウはまだ部活に行っていないようでした。
「ちょいとツボミくん。どういうつもりなのかな?」
 胸ぐらをつかんで気道を塞ぎつつ、あたしは詰問します。
「‥‥まぁ落ち着き‥‥なってば‥‥」
 こいつも呼吸ができないと苦しいのか・・・・。
 あたしはとりあえず手を離し、しかし逆に距離は詰めます。
「はよ戻せ」
「だから、落ち着きなってば‥‥。なんのための措置なのか、忘れちゃったの?車裂さんの心を開けるのはキミだけなのに、彼女は男性恐怖症ないし、それに近しい状態。これではまともに話せない。だからキミが女の子になったんだろう?」
「‥‥。」
 あたしは3秒だけ考えて、
「全部終わったら、ひっぱたくからね」
「成功したら大目に見てくれよ。それから1つ、注意点がある」
「なんとなく、その注意点っていう響きから笑ゥせえるすまんを思い出したよ」
「そこまでえげつなくないよ。でも心に留めておいてほしい。今のキミの状態というのは、単に男から女に変わったというわけではない。キミが今まで起こした言動に最大限辻褄を合わせ、その上で“もしも高橋明仁が女性だったなら”という要素を無理やり適用させたんだ。つまり、キミに対しての好感度は男女問わずに引き継がれているし、そして元に戻る時も引き継がれることになる」
「‥‥つまり?」
「つまり、もしキミがその状態で男に惚れられると、元に戻ったときもそのまま惚れられたままになるってことさ」
 それは‥‥ゾッとする話です。
「それと、キミは一応男だった時の記憶もあるけれど、あくまで14年間女の子として生きてきたわけだ。すなわち、あまり意識していないと、普通に女子中学生としての言動に引きずられてしまう。一人称も、意識するまでもなく“あたし”になっているだろう?そういうことさ」
 なんだか背筋の寒くなる話でした。世にも奇妙な物語で、こういうのありそうですよね。
「だからあまり色仕掛けとかもやめておいたほうがいい。仕掛けられた当人は気にしないが、元に戻ったとき、周りの人たちにしてみれば、男が男に色仕掛けしているようにしか感じないんだから」
 つまり、あまり女々しすぎる行動は後を引くってことか。
「注意点は以上。他の些細な問題はボクがなんとかするよ」
「そっか、ありがと」
 あたしのその言葉に、ツボミは少し意外そうな顔をして、
「女の子の時は、素直なのかな」
 と冷やかしてきました。
「キミの感情も引き継がれるから、女の子になったからって、ボクに惚れちゃダメだぜ」
「それはありえない」
「ふふ、わかってるよ」
「家族みたいなもんだからね。恋愛感情はありえないよ」
「‥‥へ?」
 ツボミの口から、なんだか間抜けな声が漏れました。しばらくして、今度はおかしくてたまらない、といったような笑い声が漏れ、
「くくく‥‥ミイラ取りがミイラ、か。傑作だね」
「‥‥?」
「いやいや、気にしなくていいよ。でも、今みたいなのはやめておいたほうがいい。なにがダメだったかがわからないなら、男とは喋らないことをオススメするよ」
 なにがダメだったのかわからなかったので、男との会話は避けることにしました。
「よし、やっちゃるわよっ!!」
 意気込みも高らかに、あたしは2ー2の教室を後にしました。



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