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小説・vs銀字・10



65。


「と、まぁそんなこんながありまして、僕はその日から変な感じに有名になってしまったわけで、以来銀字とは言葉を交わしていないというわけなのです」
「なのですか」
 本当に有名になってしまうのは、四谷との一件以降なので、当時はまだ、名前の一人歩きといえたのですが。
「ほんとに面白い人生送ってるよね、アキりんって」
「他人事だねぇ・・・・」
 実際に他人事なのですからしょうがないんですけれども。
「というか、銀字さんってほとんど見かけないと思ってたけど、屋上にいたんだね」
「その割には、銀字が女だって知ってたっぽいけど?」
「うん、メグちゃんから聞いてたの。小学校のとき、なにか関わりあったみたいでさ」
「ふぅん」
 メグ姐さんか。まぁ、彼女も姉御肌ですからね。さしずめ、“友達がいる銀字”って感じでしょうか。
「アキりんは強いのか弱いのかわからないね」
「弱いんだろうさ。要領良いってかんじかな」
「うん、そんなとこだろうね」
 男子トイレのドアが開いて誰かが入ってきた音がしました。みっちゃんはやや声を低くして、
「銀字さんは、友達いないの?」
「というより、対等な人間がいなかったんだろうね。体格も、力もパラメータが突き抜けすぎててさ」
「銀髪だしね」
「・・・・それは自業自得じゃないかな」
 まさか地毛というわけでもないでしょうし。
「でもビンタ一発で帰っちゃったんだよね?」
「まぁね。もしかしたら、親父にもぶたれたことがなかったのかもしれないね」
「あはは、それはいいね」
 少し大きめの声を出してしまったみっちゃんは慌てて口を塞ぎますが、外の男子は気が付いてしまったようで、こちらに近づいてきました。
「もしかして、アキすけとハンナちゃんか?」
「・・・・その声は、友春か?」
「なんだ、よかった。ハンナちゃん、急にいなくなるからビックリしたよ。アキすけと一緒にいたんだ」
 ・・・・うん?
 僕は扉を開けました。
「・・・・あれ?ハンナちゃんじゃない?ハンナちゃんじゃない」
「ハンナがどうしたって?」
「いや、ハンナちゃんが、校庭から急にいなくなっちゃって・・・・」
「・・・・え?」
 僕はみっちゃんに視線をやりました。みっちゃんも、同じことを考えていたようです。
 今しがたの会話を思えば・・・・
 僕が駆け出すのに、十分な理由でした。




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