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第三話


「月の下の殺人鬼」【目次】に飛ぶ



「お姉ちゃん、最近夜、どこ行ってるの?」
「え、あ、その、散歩だよ散歩」
「もうここんとこずっと殺人事件が続いてるんだから、もうやめたほうがいいよ?」
「えっと、それは多分大丈夫。でも日和はなるべく夜には出歩かないでね?」

 そのおかしな口ぶりに、日和は可愛らしく首を傾げる。

「それはそうとして、今日は友達んちに泊まってくるね。だから夜ごはんはいらないから」
「うん、わかった」

 日和はよく友達の家に泊まってくることが多い。
 それは家事全般をやってくれる月乃のためなのだ、とする考えは穿ちすぎだろうか。

 しかしこれで今日は、どれほど遅く帰ってもいいということである。
 ”彼氏”ができたばかりの月乃にとって、これほど嬉しいことはない。
 月乃は内心で日和に感謝する。

 家を出る直前、なんとなく今日は雨が降りそうな匂いがするな、と考えたが、結局月乃のお気に入りのピンクの傘は置いていくことにした。


● ● ●


 学校では、前日の騒ぎが嘘のような静けさだった。

 騒ぎ、とはすなわち、別のクラスの女子数人が押し寄せてきたことである。
 誘いを蹴っただけで騒ぎ立ててきたあの女子たちが、どうして告白を受け入れたことに関してなにも言ってこないのだろうかと月乃は不気味に思っていた。

 一方で、嬉しい変化もあった。
 昼休みの食事時に、酒井に一緒に食べようと誘われたのだ。

 今までなら萎縮していただろうが、とある少年によって心の緊張をほぐされていた月乃は思いきって誘いに乗ることにした。

「おし、言ってこい月乃ちゃん!」
「えっと、ごめんね、小林さん・・・」
「いいっていいって、吹奏楽部の友達のところを襲撃してくるから」
「ほんとに、ごめん」

 気を遣ってくれたのか、美沙は付いて来なかった。
 しかし恋人同士の食事に同席するのはさすがに気まずいよな、と月乃は考えていたのだが、月乃が想像していた食事の風景とは大きく異なっていた。

 男2人、女4人のグループがすでに酒井のクラスに出来ており、そこに酒井と月乃が加わるような形だったのだ。

(あれ・・・? 二人っきりじゃないんだ)

 混乱する月乃に椅子を勧める酒井は、さっさと輪の中に加わってしまった。
 おずおずと、月乃も静かに席に着く。

「おおー! 榊さん、近くで見たことなかったけど可愛いなー!」
「ほんとほんと」
「ほらーやっぱり告白しとくべきだったでしょー?」
「っせーなぁ」
「そういえば自炊してんだよね」
「じゃあお弁当も自分で作ってるとか?」
「やだー良い奥さんになりそー」
「お前も料理くらいできるようになれよ」
「うっさいな! 外食すればいいのよ!」

 次々といろんな方向から飛び交う声に、月乃は思わず目を回す。
 こんな、同じ話の輪にいるいろんな人の声を一気に聞くのは初めてのことだった。
 そして、こんなに楽しげな和気藹々とした話に自分が形だけでも参加しているというのが信じられない。

 思いきって踏み込んでみて、よかったと心から思う。

 あの少年の言葉が脳裏をよぎる。
 「ま、死ぬ気があるんなら、死ぬ気で生きてみろよ、死人」
 生きるということは必死になるということで、リスクを冒さなければ人生は灰色になる。
 失敗を恐れていないで、思いきって前に踏み出してみる勇気が、自分には足りなかったのだろう。

 そこで、ふと気づく。
 今ここで輪に加わっているのは、あの時、月乃の教室に雪崩れ込んできた女子たちではないか。
 どうにも繋がらない。
 なんとなく違和感がある。

 しかしそれを具体的な形に出来ないままに、月乃と酒井はその日の放課後にさっそくデートをすることに決まった。


● ● ●


「つっても、どこに行こうか?」
「・・・・・・」

 今日は遅く帰れるということを伝えたら早速今日デートをしようということになったのだが、しかし具体的にどうしようというプランもないままに学校の前に集合して、そのままぶらぶらとその辺を歩いているところだった。

 しかも。

「だー! 雨降ってきやがった! これだから天気予報は!」

 あわててコンビニに駆け込んで、売り物のビニール傘を一本手に取る酒井。

「コンビニの傘って、なんでこんなに高いんだろう? よそで買えば4~5本は買えるよ」
「ほんと、ですね」
「へへっ、じゃあ1本でいいか!」
「?」

 2人は少し強くなってきた雨の下に再びくりだした。
 傘は1本。

「ほら、もっと寄らないと濡れちゃうよ」
「肩、ちょっと出てますよ」
「お、ホントだ。へへへ、ケチったのは失敗だったかな」
「かもですね。ふふ」

 ”仮面”を被ってはいるものの、思わず漏れた笑いは本当だった。
 そしてサッカー部エースという肩書きに気圧されてはいたものの、いざ一緒に過ごしてみればなんのことはない、普通の少年のようだった。
 あの殺人鬼のように。

 それから、どこかに行くということもなくふらふらと歩き続けた。
 目に入ったデパートに足を運んでは、いろんなコーナーを巡りながら談笑した。
 雨が止みそうになっても、傘はさしたままでお互いにくっついたままバカ話で笑い合っていた。

 すっかり日が沈んでからしばらく経ち、分厚い雨雲が黒々としてきて、街灯が灯った。

「榊さん、大丈夫? 疲れちゃった?」
「だい、じょうぶです・・・昔からちょっと、体力が、ないだけなので・・・・・・」
「・・・・・・この近く、俺んちがあるんだ。ちょうど見せたいものもあるし、休んで行ってよ」

 空を見上げると、雨はもうあがっていた。

「雨、やみましたね」
「これでやっと、手がつなげるね」

 悪戯っぽい表情を浮かべて、手を差し出す酒井。
 さきほどまで体を密着させていたのに、今更ながら顔を赤くしてその手を取る月乃。

 そのまま彼の大きな手に包まれて、月乃は酒井の住むアパートに到着した。

 月乃の脳裏に、中学時代のトラウマがよぎる。
 体目当てで接近してきた最低な先輩。
 思わず身震いする。この少年はどうなのだろう。
 自分の何を求めて接近してきたのだろう。

 いいや、そんなことを考えていてはだめだ。

 それでは今までと変わらない。
 人を信用できなくなって、これからも同じことを繰り返すつもりなのか。
 あの殺人鬼のおかげで自分は変われたと、彼に言ったではないか。ならば変わらなくてどうする。

 繋いでいる手に力を込める。
 温かい。
 同じ人間なのだ。
 世の中にはたくさんの良い人がいるはずなのだ。
 だから、きっとこの少年も大丈夫。
 あの先輩が、珍しくハズレだっただけの話。きっと少数派。
 だから、大丈夫。
 今度こそ、彼にすべて委ねられる。
 彼なら、自分の中の”空っぽ”を満たしてくれる。
 今日はとっても楽しかったではないか。
 信じよう。

「今日は親、いないんだ」

 そう短く言って、なぜかインターホンを押してから鍵を開けて玄関の扉を開く酒井。
 すっかり湿ってしまった服の冷たさを確かめつつ、月乃は彼の後を追って廊下を歩いていき、リビングの扉をくぐる。


 そこには、昼に一緒にご飯を食べた女子4人が待っていた。


「・・・・・・・・・・・・・・・え」

「おっそーい!」
「こんなに遅くなるんなら連絡してよね!」
「もう9時だよー!?」
「悪い悪い、楽しいデートだったもんで」
「もー、で、あの事はもう、この子には伝えたの?」
「いや、これからここで伝えるつもり」

 じわじわと、言い知れぬ不安が心から滲み出してくる。

 月乃へと向き直る酒井少年は、むしろ胸を張るようにして、言った。

「俺さ、思うんだよ。恋人は1人だけっていう風潮はおかしいって。そりゃ結婚とかなったらさすがに俺もどうかと思うけどさ、だからって彼女とか彼氏が1人である必要はないと思うんだ。そうだろ?」

 心臓が暴れだす。服の上からでもわかるくらい、激しく高鳴っている。
 呼吸が乱れる。吸っているのか吐いているのかもわからなくなってしまう。

「もちろんこいつらも他に彼氏を作ってるかもしれないし、それでいいと思ってる。榊さんももちろんね」

 なにを言ってるんだこいつは。ちゃんと日本語で喋れよ。
 どこの国の話をしてんだよ。あたしの常識の方がおかしいのか?

「そういうことだから。ああ、すぐに受け入れろとは言わないよ。でも、きっとこれから楽しいところにも連れてってあげるし、いろんなことを教えてあげる。だから・・・・・・」

 ぐらリ、と月乃の体がよろめき、近くのチャストに向かって倒れた。
 上に乗っていた小物や化粧品が倒れ、転がって地面に落下する。
 そんなことなど気づかずに、月乃の頭の中はぐるぐると混乱を続けていた。

「榊さん!?」

 あわてて駆け寄ってきた酒井が月乃に手を伸ばすが、月乃は反射的にその手を振り払った。

「触らないで!」

 がくがくと震える足をどうにか動かして、部屋を飛び出す。
 背後から声が飛んできたが、それを理解するだけの理性など残ってはいなかった。

 雨は再び強く降り始めていた。
 自分でもなにを言っているのか分からない声で呻きながら、がむしゃらに走り続けた。
 途中、足に力が上手く入らずに派手に転んだりしながら、ほとんど記憶がないままに、例の神社にたどり着いた。

「柚子葉ぁぁぁ!!」

 あの少年の名を叫ぶ。
 だが確かあのアパートを出たのがすでに9時を少し過ぎていたはず。ここまで来るのにどれほどの時間が経過したのかはわからないが、神社を覗いて月乃がいないことを確認したら、彼はすぐに帰ってしまうだろう。

「やだ、やだ、やだやだやだ・・・・・・もう殺して・・・・・・誰か、殺してよ・・・・・・こんなの、やだよぉ・・・」

 神社本殿に続く石畳でへたり込みながら、弱々しい声で呻き続ける月乃。
 顔をぐしゃぐしゃにして、雨が体を強く叩くのにも構わずに崩れ落ちる。
 もうここまでに体力は使い果たした。家に帰ることはできそうもない。それでもいい、どうせ妹は今日、家にいないのだから。

 できることなら、ここで野垂れ死んでしまいたい・・・・・・


「おーおーイイカンジに死んでんなーおい」


 突然、背後から聞き覚えのある声が響いた。同時に、月乃のお気に入りのピンクの傘が彼女の頭上にかざされる。

「よっ、死人。心配して来てやったぜ。遅刻すんじゃねーよ、ボケ」
「・・・・・・柚子葉ぁ・・・」
「なんだよなんだよ、すっかり死に直しやがって。なにがあった?」

 月乃は地面に座り込んで振り返らないまま、さきほどの一件を少年に話した。
 すると少年は深いため息をついて、

「最低な男だな。まぁ全員納得ずくのハーレムなら口の出しようもないけどよ、それならアンタにゃ告白の段階で言うべきだわな」
「・・・・・・」
「で、誰がいい?」

 月乃は終始彼に背を向けて話していた。だからこそ、その声色の変化を敏感に感じ取った。
 命というものを具体的に削り取っていくような、おぞましい声色。

「アンタをこんな風にしたクソ共の、誰を殺して欲しい?」

「・・・・・・」
「オレは女をとっかえひっかえにする男が、死ぬほど嫌いなんだ。いや、殺すほど嫌いなんだ。最低なクソヤロウを思い出す。それで・・・さて、その男を殺して4人の女の家に4分割して郵送してやろうか? それとも女4人を皆殺しにして、その男を独占するか?」
「・・・・・・やっぱりあたしは殺してくれないの?」
「殺さねーよ。ポリシーだからな」
「あたしがもう死んでるから?」
「じゃなくても、殺さねーよ」
「?」

 次第に”殺人鬼”としての声から、元の優しい声色に戻っていく少年。

「好きだから、殺さねー。当たり前のことだろ?」

 思わず、月乃は少年を振り返った。
 ぐしゃぐしゃの顔で、にっかりと笑う少年を見上げる。

「1つ。死んでるやつは殺さねー。2つ。好きなやつは殺さねー。そいつが俺の、2つのポリシーだ」

 地面を叩く雨音が変わらず鳴り響いていたが、もう月乃の耳には届いていなかった。
 目の前の・・・・・・自分をこの世界で生かしている最後の糸が殺人鬼というのはなんとも皮肉な話だが、もはや彼が目の前にいるという事実しか彼女が生きる理由などなくなっていた。

「おう、ちょっとじっとしてろ」
「え・・・・・・ちょっなにしてるの!?」
「いいからじっとしてろよ・・・・・・よいしょっと」

 少年が行ったことは単純である。
 月乃を、手ぬぐいで縛って、持ち上げた。

「妹さん心配してたから、さっさと家に運ばねーとな」
「日和に会ったの!? っていうかなんで手首と足首を縛るの!?」
「もう歩く体力もねーだろ? いやぁ、こうしねーとオレ、人間に触れねーんだ。手足が自由な奴に触れると”殺される”って感じちまってよ。・・・1人だけ例外はいるけどな。ホントはぐるぐるに縛って、その上で猿轡も噛ませるんだが、”好き”で”死人”のアンタなら、これでも十分だな」
「う・・・・・・あなた、傷心の女の子に、そうやってほいほい好きって言わないで・・・・・・響くの・・・」
「やめろよ! なんか指摘されたら恥ずくなってきただろ!」

 その後もぎゃーぎゃー言い合う2人。
 神社から月乃の家までの道のりは流石にもう覚えていたようで、お姫様抱っこのような格好でピンクの傘を差しながら迷わず歩く少年。
 途中、見覚えのある警官に遭遇してしまったが、月乃が「趣味です!」と言ったら無言で立ち去っていった。

 そんなわけで、月乃宅に到着。拘束を解いて、インターホンを押す。
 すると、すぐに日和が玄関から飛び出してきた。

「お姉ちゃん!」
「日和!? え、友達の家に泊まってくるんじゃ・・・・・・」
「中止になったの! そしたらお姉ちゃん帰ってなくて、さっきそのお兄さんが訪ねてきて・・・・・・ああもう、びしょ濡れじゃない! お風呂沸いてるからね! 早く中に! お兄さんも!」

 日和に引きずられるようにして家に入ると、すごい力で服を剥かれた月乃はそのまま湯船に放り込まれてしまった。
 そして浴槽の縁に腰掛ける日和は、すでにボロボロと涙をこぼしていた。

「お姉ちゃんのばか! 心配、したん、だからっ・・・!」
「ご、ごめんね。ごめん、日和・・・」
「それから、あのお兄さんに聞いたんだからね!! お姉ちゃん、殺して欲しいから殺人鬼を探して、わざわざ夜に散歩に行ってたんだって!?」
「・・・! あ、あのやろう・・・よりにもよって日和に・・・」
「やっぱりほんとなんだ!?」
「ううっ・・・」

 日和は裸足の足を湯船に突っ込み、気圧される姉の肩を掴む。

「それに、わたしが完璧な人間だからお姉ちゃんが死んでも困らなくて、悲しまないで、しかも葬式の費用で泣くって言ってたんだって!?」
「そ、そんなことまで・・・・・・」
「そんなわけないでしょっ!! わたしなんて全然完璧なんかじゃ、ないし・・・・・・お、お姉、ちゃんが、死んじゃったら・・・ひっく・・・・・・やだよ・・・困るし、悲しいよぉ・・・・・・」
「・・・・・・ごめんなさい」
「お姉ちゃん、ごめん、なさい・・・これからは、家事も、手伝うから・・・・・・なんでも、するから・・・だから、死んだりしないで・・・いなくならないでぇ・・・・・・お願い、おねがい、だから・・・」
「うん・・・・・・もう、ばかなことは、やめるね」

 湯船から立ち上がって、日和の頭を胸に抱くようにする月乃。
 姉としての、無意識の行動だった。
 日和も月乃の体に腕を回す。
 姉妹だというのに、互いの体に直接触れたのは、本当に久しぶりのことだった。

 このとき月乃は初めて、”死人”を卒業した。

 日の光を受けて輝く月ではなく、自分の力で輝くようになった。


● ● ●


「・・・あれ? あのお兄さんは?」
「靴がないから、帰っちゃったみたいね」

 しかし月乃のお気に入りのピンクの傘は玄関に立てかけてあるので、なら雨に濡れながら帰ってしまったということになる。

「あのお兄さん誰なの? どういう関係?」
「えっと・・・・・・あたしが、本音で喋れる人・・・かな?」
「あの人、お姉ちゃんに彼氏ができたって言ってたけど、ほんと?」
「昨日付き合い始めて、さっき別れた」
「スピード破局!?」

 月乃と日和がリビングに入ってテーブルに目を向けると、牛乳とコーンフレークが出しっぱなしになっていた。

「・・・・・・日和、これって・・・晩御飯じゃないよね・・・?」
「ち、違うの! だって冷凍の食べ物がなくって、えっと、それにコレって一杯で一日の半分のエネルギーが採れるんだってっ! すごいね! えへへ!」
「・・・・・・そう、だね」
「うっ・・・! 料理なんてやったことないんだもん・・・。お姉ちゃんが昔から、いつもやってくれてたよね・・・。それに甘えて、わたしが全部押し付けちゃったから、イヤになっちゃったんだよね・・・・・・それで・・・」
「違う!」

 月乃は大きな声でぴしゃりと言い放つ。
 本人は気づかなかったが、月乃が日和に大声を出すなんて小学校以来初めてかもしれない。

「日和はすごい子だから、そんなつまらない苦労させちゃいけないの! こんな雑用は、あたしみたいなつまんない人間がやればいいの! 日和は、なにもしなくていいの! あたしが死にたくなったのは、日和よりも周りのみんなよりも劣った自分に嫌気が差して、逃げ出したくなっただけ・・・・・・日和はなんにも悪くないよ」
「お姉ちゃん・・・そんな悲しいこと言わないでよ。お姉ちゃんは、すごい人だよ。わたしの自慢のお姉ちゃんなの。ただ、いつもやってもらってることに今更お礼を言うのが恥ずかしくって、素っ気なくなっちゃったの・・・・・・これからはいただきますだって言うし、お願い、家事も手伝わせて・・・」
「・・・日和」
「お姉ちゃんがどんなに死にたくなっても自殺をしなかったのは、わたしのためなんでしょ・・・・・・?」
「・・・だって、余計に迷惑がかかるから」
「死ぬくらいなら、なにもしなくていいよ。生きてそばにいてくれたらそれでいいよ。迷惑とかっていうのも考えないで、これからはわたしを頼って。お願い」
「うん・・・・・・うん。ごめんね。ありがとね・・・日和」

 その日は、初めて2人で晩御飯を作った。完璧だと思われていた日和が不器用だということが判明した。

 その日は、本当に久しぶりに2人でお風呂に入った。狭い湯船に体を2つ詰め込んで、胸を割って話をした。

 その日は、日和の部屋のベッドで一緒に寝た。眠りに落ちるまでの間、互いの顔が見えない中で取り留めのない話をして笑った。

 学校行事に参加したことのない月乃だったが、ウワサに聞く”修学旅行の夜”というのはこんな感じなのかな、などと考えた。

 その日、月乃は決心した。

 ”仮面”はもう外そう、と。

 これからは、素顔で”生きて”いこう、と。


● ● ●


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